草思社民事再生申し立て

 草思社が経営悪化で民事再生申し立てというニュース、昨日の話題ですが、びっくりしました。売れ筋ベストセラーズだけでなく、東南アジア関連の良著も出版していたので、ときどきお世話になっていました。

草思社民事再生申し立てを報じる記事

(以下、リンク切れに備えて、記事を保存しておきます。)

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080109-00000068-zdn_n-sci

草思社民事再生申し立て

1月9日18時40分配信 ITmediaニュース

 帝国データバンクによると、「間違いだらけのクルマ選び」シリーズや「声に出して読みたい日本語」などのベストセラーで知られる出版社・草思社が1月9日、民事再生法の適用を東京地裁に申し立てた。

 1961年に創業。「全国鉄道事情大研究」シリーズや、ベストセラーになった「決定版大国の興亡」、「平気でうそをつく人たち」などノンフィクション系に強く、「カッコウはコンピュータに卵を産む」「インターネットはからっぽの洞窟」(ともにクリフォード・ストール)といったIT関連を扱った書籍も発行していた。

 ピークの1997年10月期には39億円の売上高があったが、近年は大きなヒット作がなく、06年10月期の売上高は約16億2000万円に落ち込んでいた。広告宣伝費の削減や本社不動産の売却といった合理化を進めてきたが、出版不況と有利子負債の負担もあり、自力再建を断念した。

 昨年末にはWebマガジン「Web草思」の休刊を発表していた。

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080110-00000006-jct-bus_all

出版業界もはや危険水域 草思社だけでない「倒産予備軍」  

1月10日19時55分配信 J-CASTニュース

出版業界もはや危険水域 草思社だけでない「倒産予備軍」  

草思社のHPでは民事再生法の適用申請について触れられていない

 『声に出して読みたい日本語』『間違いだらけのクルマ選び』などのベストセラーを出してきた草思社が経営破たんに追い込まれた。長引く出版不況のなかで、多くの出版社は体力を消耗、出版点数を増やし続ける「自転車操業」状態に陥っている。草思社の経営破たんは、出版業界が陥っている「危機」を象徴する出来事だったようなのだ。

■「昔はあった数十万部売れる書籍がなくなってきている」

 草思社は2008年1月9日、東京地方裁判所民事再生法の適用を申請した。負債総額は約22億5000万円。業績不振や有利子負債が経営を圧迫したためで、同社は不動産を売却し、07年12月中旬には本社を移転。同12月末にはWebマガジン「Web草思」の運営をやめていた。同社によれば、すでに書籍の出庫を停止しているが、08年1月10日までに10社近い企業が支援に名乗りを上げており、営業を08年3月に再開することを目指しているという。

 同社は1968年に設立。『間違いだらけのクルマ選び』を76年から30年間にわたって発行していたほか、『声に出して読みたい日本語』(01年)『清貧の思想』(92年)といったベストセラーを多く出しており、07年12月には北朝鮮に拉致された横田めぐみさんの母・早紀江さんの発言をまとめた『めぐみへ 横田早紀江、母の言葉』を出版したばかり。そういったこともあり、出版業界にあたえる「衝撃」は計り知れない。

 草思社編集部はJ-CASTニュースに対し、162万部のミリオンセラーを記録した『声に出して読みたい』以降、「50万部を超える書籍が出版できなかった」と話す。

 「ミリオンセラーと『売れない書籍』の"格差"があり、昔はあったはずの中間層の数十万部売れる書籍がなくなってきている。ここ数年、それが出せなかったことが、(経営破たんに)直接的な影響を与えたと考えている。また、新書や文庫本といった『安くてコンパクト』な本が今求められているのに、単行本だけを出していたことも時代の逆を行ったかたちになる」

 一方で、同社編集部の担当者は「環境のせいにするわけではないが、出版業界が厳しくなってきているのは肌で感じた」とも漏らしている。

■業界に与える心理的影響は大きい

 最近では自費出版大手の新風舎が08年1月7日、約20億円の負債を抱えて民事再生法の適用を申請したばかり。04年には大手書店の青山ブックセンター民事再生法の適用を申請するなど、2000年以降は、中小出版社や書店の倒産・経営破たんが目立ってきている。ただ、草思社は中堅出版社でもミリオンセラーを出せる出版社と見られていただけに、経営破たんが出版業界に与える影響も小さくはなさそうだ。

 「まさかと思った」と話すのは出版ニュース社代表の清田義昭氏。同氏は「草思社民事再生法の適用申請が出版業界に与える心理的影響は大きいと思う。中堅の出版社は今ではどこも厳しいため、この現象が広がる可能性もある」と指摘する。

 しかし、清田氏によれば、「出版不況」は根本的に大きな問題を抱えているようなのだ。

 「96年をピークに出版業界の売り上げは縮小し、返品率は40%にまでなっているのにもかかわらず、新刊点数はここ数年増えている。これは、出版事業が『自転車操業』的になっている現われで、出版社は出版活動について足元を見なくてはいけないと思う」

 「自転車操業」とは、業績悪化を受けて新刊点数を増加させ増収を試みるが、売れないために返品が多くなり、さらに業績が悪化して、そしてまた新刊点数を増やすという「負のスパイラル」のことだ。また、ある業界関係者は「自転車操業で出版業界に出口はなく、ダメな業界になってしまった」と話しており、出版業界は深刻な状況に陥っているようだ。

http://www.asahi.com/business/update/0109/TKY200801090298.html

草思社民事再生法適用申請 負債総額22億5千万円

2008年01月09日21時43分

 日本語ブームを巻き起こした「声に出して読みたい日本語」などで知られる中堅出版社の草思社(東京都文京区、木谷東男社長)が9日、東京地裁民事再生法の適用を申請した。負債総額は22億4789万円。複数の企業が支援を表明しており、事業は継続する方針。出版市場は90年代半ばから縮小を続けており、多くのベストセラーを生み出してきた中堅出版社の民事再生法申請は、出版不況の象徴といえそうだ。

 同社によると、長引く出版不況で売り上げが低迷し、有利子負債が経営を圧迫、支援企業の下で再建を目指すことにした。店頭で書籍は購入できるという。2月中をメドに再建計画を詰め、3〜4月に再スタートを切りたいという。同社の出版事業は最盛期の97年には31億9000万円の売り上げがあったが、昨年は13億6000万円に落ち込んでいた。

 草思社は68年創立。個性的なネーミングで知られ、「間違いだらけのクルマ選び」を始め、「清貧の思想」「平気でうそをつく人たち」「他人をほめる人、けなす人」などのベストセラーを生み出してきた。

 堅実な経営で知られた出版社の再生法申請に、業界の衝撃は大きい。出版ニュース社によると、06年の書籍の実売金額は96年から900億円減の1兆円程度に落ち込み、返品率は40%程度で高止まりしている。業界関係者は「草思社はベストセラーを出す力がある出版社。出版不況もここまで来たかという思いだ」と衝撃を受けている。

「Web草思」からベトナム関連のページ

http://web.soshisha.com/archives/vietnam/index.php

ベトナム秘史に生きる「日本人」 | Web草思

玉居子精宏
たまいこ・あきひろ 1976年、神奈川県生まれ。フリーランスの編集・ライター。大学卒業後、出版社に勤務。退社後は大東亜戦争中のベトナムに存在した日本の外地校「南洋学院」に注目し、「仏印ベトナムと日本のかかわり」をテーマに取材を続ける。2005年、ホーチミン市(旧サイゴン)に移住。現在は「ベトナム残留日本兵」への聞き取りにも力を注ぐ。

http://web.soshisha.com/archives/vietnam/2007_1004.php
最終回 源流は大東亜戦争にあり──戦後日本のベトナム支援

http://web.soshisha.com/archives/vietnam/2007_0920.php
第4回 現地校卒業生、命がけのベトナム残留

http://web.soshisha.com/archives/vietnam/2007_0906.php
第3回 ホー・チ・ミンの軍隊で戦った日本人

http://web.soshisha.com/archives/vietnam/2007_0823.php
第2回 植民地政府を解体した一夜の奇襲作戦

http://web.soshisha.com/archives/vietnam/2007_0802.php
第1回 仏印進駐の知られざる物語